海上保安庁に努める主人公、仙崎大輔が海上保安大学の潜水士課程に入学し、そこで知り合った仲間とともに苦しくも厳しい訓練を乗り越え、潜水士になるまでの過程を描いた人間ドラマ、それがこの「海猿」です。海上保安庁の全面協力により撮影が行われ、2004年に劇場公開となった作品です。
監督を務めた羽住英一郎氏は、それまでフジテレビ系列で放送されたドラマ「踊る大走査線」シリーズの助監督を務め、この映画で監督デビューを果たしました。主人公の仙崎を演じるのは、この役が当たり役となった伊藤英明。ヒロインのファッション雑誌編集者、伊沢環菜を演じるのは、すでに多くのドラマやCMで活躍していた人気女優の加藤あい。訓練生たちに厳しい訓練を課す主任教官、源太郎を演じるのは、ベテラン俳優の藤竜也となっています。
友情と師弟の絆、そして恋
暑苦しいほどの主人公、仙崎の情熱により燃え上がる友情、絆、そして愛。それがこの映画をロマンティックなものへと仕立て上げています。情熱なくしてロマンが生まれることはないのです。当初は冷酷なほどに冷静だった訓練生のひとりは、その情熱に翻弄され、最終的に友情を結ぶことになります。厳しい主任教官は、訓練生たちの情熱に負け、規則を破っって彼らが仲間を助けに行くことを許可します。そして、当初訓練生に良い印象を持っていなかったヒロインの伊沢ですが、彼のあまりの情熱に心を奪われ、彼を愛するようになります。