2001年に上映され、以後多くの「部活もの」映画が量産されるほど、凄まじい影響力を日本映画界に与えた作品、それが「ウォーターボーイズ」です。実際に存在する埼玉県立川越高校水泳部から着想を得た作品です。テレビのニュース番組で彼らの映像が流れ、それを見た矢口史靖監督が、彼らの「モテたい」という不純な動機からインスピレーションを得たそうです。その矢口監督は「ひみつの花園」などで知られる、コメディタッチの映画を得意とする監督です。主役の鈴木智を演じる妻夫木聡はこの映画で本格的にブレイクし、その後日本を代表する俳優となります。ヒロイン役の空手少女、木内静子を演じるのは、タレントでグラビアアイドルの平山あや。男子水泳部員にシンクロナイズドスイミングを指導する変わったイルカ飼育員には、名俳優の竹中直人が抜擢されました。
「モテたい!」という高校生の思いが生んだ物語
男子高である川越高校水泳部員が、文化祭の出し物として必死にシンクロナイズドスイミングに取り組んだ理由は、「女の子にモテたい」から。ただそれだけでした。その純粋さ(不純さ?)こそが、この映画のロマンティシズムの根源です。必死に行動する姿が人の心を動かし、そこにロマンが生まれるのです。実際の彼らにどれほどロマンティックな出来事が起きたかは知る由もありませんが、この映画に影響され、ロマンを起こすべく行動した方はきっと多くいたはずです。